けがにの日記

ライブレポを書きたい。

ピノキオピーワンマンライブ「MIMIC」(2023. 07.29)ライブレポート+MC全文

ピノキオピーワンマンライブ「MIMIC」

2023年7月29日(土) 開場17:00 開演18:00

於・KT Zepp Yokohama

出演者:ピノキオピー、RK、サガット、ARuFa、初音ミク鏡音リン・レン、ゆっくり(SofTalk

一般指定席:¥5,500+1D(¥600)

指定席(2階席最前2列・着席指定エリア):¥6,500+1D(¥600)

アーカイブ(~2023年8月29日(火)23:59)つき配信:¥3,000

セットリスト

 

[註:以下の文章は、歌唱や演奏の感想、「MC全文」を配信のアーカイブ映像をもとに筆者が文字起こししたもの、その他適宜目次、ト書き、照明の情報、註等を付したものです]

 

ピノキオピーの公演として初めて、全員に座席が用意され、公演前日には「ライブ前には空腹を避けよう」などとアナウンス*1されるなど、主催者が観客の健康に細心の注意を払っている様子がうかがえた。

2023年7月28日、ピノキオピー公式Twitterアカウントよりなされたアナウンス。

開場

筆者は2階席で鑑賞。会場に入った瞬間、今までのピノキオピーのライブからは考えられないほどステージが自分の位置から遠いことを悟り、驚愕した。

2階席、ステージから見て右端に鬱Pが座り、携帯を弄っていた。

開演直前、「声を出して応援される際は、マスクをご着用ください」とのアナウンス。マスクを一切準備していなかった観客も少なからずおり、会場から困惑の声が上がる。Twitterのフォロワーが「声出ししたかったのにマスクを忘れてきた」とツイートしていたのを確認し、開演2分前に当該フォロワーの席へ走る筆者。その周辺にいた観客とも合わせて4枚ほどマスクを配った。

また、「ペンライト/ぬいぐるみを掲げる際は、他の客の迷惑にならないよう、胸の高さまで」というアナウンス。直近のピノキオピー出演ライブ「超ボカニコ2023」(2023年4月30日、「ニコニコ超会議2023」内にて開催)終演直後からSNS上で苦情が相次いだこと、ピノキオピーの音楽性や2010年代から続くライブスタイルが、ペンライトやぬいぐるみに象徴される文化にそぐわないことを踏まえての要請と思われる。

また、「写真撮影OK・短い動画撮影OK・SNSへのアップロードOK」も、これまでのライブで培われた伝統を踏襲する意思表示ともとれるアナウンスであった。

 

開演前BGM:アップルドットコム

開演

BGMフェードアウト、暗転。拍手が会場を埋め尽くし、すぐに静寂。

 

音出し。何かが割れるSEが2発、ドラムのハイハットが2発。

 

オープニングのインストゥルメンタルと映像が流れる。アンビエントっぽい雰囲気。

ステージは暗いが、下手側にピノキオピー、上手側にRK、中央にサガットの姿が確認できる。

ピノキオピーは今回のグッズ「MIMICホログラムTシャツ」、足首丈の黒ズボン、赤いニット帽。久しく目撃されていなかった「白い仮面」を着用していることがわかると、客席はざわめいた。その背後には銅鑼が1台。

ピノキオピーの機材にかかったクロスには古くからのアイコン「溶けるどうしてちゃん」、RKのクロスには「MIMIC」のロゴが大きくプリントされている。ピノキオピーの卓の端にはアイマイナとどうしてちゃんのぬいぐるみが寄り添って腰掛けている。

 

ピノキオピー:セイ!

掛け声とともにインストゥルメンタルが盛り上がり始める。

ピノキオピー:イェイ!

左手でマイクを持ちつつ、掛け声とともにピノキオピーが右手で銅鑼を打ち鳴らす。サーキットレースのスタート音が鳴らされ、音圧がさらに強まる。カラフルな照明がぐるぐるとステージを照らす。この時点で1階席は総立ち、2階席も半分ほどが起立。

 

1. 転生林檎

最初のAメロが終わってイントロに入るとき、「転生林檎!」の掛け声とともに仮面を外し、どこかにうっちゃるピノキオピー。

ピノキオピー:皆さま初めましての人は初めまして、ピノキオピーと申します!

ゆっくり:オウイェ

小刻みなスクラッチの音が要所でビートに合わせて響く、リズミカルでノリやすい1曲目。思い思いの色のライトバングルが客席で光る。ペンライトもまばらだが確認できる。

 

2. アルティメットセンパイ

イントロが始まった瞬間、客席から悲鳴が上がる。

ピノキオピー:アルティメットセンパイに転生していきます。(自分の左手首を指差して)中古のG-SHOCK! Let’s Dance!

両腕を水平に伸ばし、体の重心を左右に揺するおなじみの「アルティメットダンス」を始めるピノキオピー。

Aメロはバラエティ豊かでコミカルな合いの手が楽しく、サビではミクが歌い上げる哀切なメロディに酔い、心地よく体が揺れる。

間奏(カットアップ)に入るところで、

ピノキオピー:RKセンパイのスクラッチ! オウイェ!(RKを指差す)

ピノキオピーが「センパイ」と叫ぶとその場でサンプリングされ切り刻まれる。

 

3. 神っぽいな

ピノキオピーが「Oh my god」と冒頭のフレーズを口にした瞬間湧き上がる会場。ステージの照明は赤く、バングル、ペンライトもほぼ赤。

テンポが落ちるラップパート、ミクは休みでピノキオピーの独擅場。

流れるように高速パートに入り、脳がキマる。

 

4. 腐れ外道とチョコレゐト

ゆったりとしたテンポで聴かせる「HUMAN ver.」(2016年11月23日発売『HUMAN』収録)とは異なり、原曲と速さは同じだが、原曲よりキックと裏打ちのハイハットを強調させ、派手めなシンセが鳴るダンサブルな「META remix」(2023年5月17日発売『META』収録)。

照明は紫色、バングルはほとんどピンク~紫色。

直近のピノキオピーワンマンライブ「パラレルエッグ+」(2023年1月28日開催)にて、「腐れ外道とチョコレゐト」上演中に観客が昏倒した*2一因として、「同曲で激しく点滅する照明演出がなされたためではないか」と一部で噂されていた。それは真実だったのか、チームがその噂を考慮したのかはわからないが、点滅を完全に排した演出となっていた。

間奏「歌うピー音」で一瞬ピー音以外の音が止む箇所があり、キマる。

 

5. 閻魔さまのいうとおり

ピノキオピー:一気に行きます。ディス・イズ・ボーカロイド・アンド・ヒューマン・ミュージック! ピノキオピーと申します!

そうピノキオピーが叫ぶと同時に、ミクのロングトーンからカットアップが弾むイントロへ。

照明ははじめ白系、サビで黄~オレンジ系。客席はオレンジが多め。

落ちサビでRKがフィンガースナップのSEを刻む。

 

MC

いちど暗転してステージ明転。

ピノキオピー:はいどうもありがとうございます、ピノキオピーです。

ゆっくり:オウイェ

会場:ピノさーん!!

ピノキオピー:ライブ「MIMIC」でございます! 皆さん、熱気がすごい! 最高。

会場:大歓声

ピノキオピー:もうね、なんだろ。水飲みます。皆さん、自分のペースで楽しんでいただいてぜんぜん、いいので……疲れたら座ってもいいし。いったん、休憩してもいいし。ゆっくり楽しんでください。いやあ、「MIMIC」ですよ。無事に今ここに立てていることが、嬉しいです。皆さんもね、きょう来ていただき本当ありがとうございます。

会場:ありがとう!

ピノキオピー:おお……声が、声が聴こえる(笑)。めっちゃ嬉しい。ワンマンライブで声出しするのすっごい久々なので――超会議とかで声出しあったんですけど、ワンマンでは初なので――皆さんのエネルギーがすっごい伝わってきます。ありがとうございます。

ゆっくり:オウイェ

ピノキオピー:『META』っていうアルバムが、5月に――2か月前に出まして。早いもんでもう、2ヶ月……。

会場:拍手

ピノキオピー:あ、ありがとうございます(流暢なピースサイン)。で、そのアルバムの中から……を中心としたセットリストで、やるという感じになっております「MIMIC」。

ゆっくり:イェイ

ピノキオピー:(笑)『META』ってアルバムの仮タイトルで「MIMIC」ってあったんですけど。CDのタイトルになる予定だったんですが。『META』も「なにかになりきる」ということに近いんですが、「MIMIC」もそういうテーマなので、[きょうの公演は]最初から仮面をつけて(仮面を探す)……仮面どっかいっちゃった(笑)。

会場:(笑)

ピノキオピー:久々につけて登場したんですけど。むかしつけてたんです。で、それを久々にちょっとつけて。あれも、ある意味「擬態」というか。「擬態をしていたな」という。いまはもう、擬態せず皆さんにそのまま会ってるんですけど。(水を飲む)いやあ、気持ちいいっすね。対面で皆さんと、顔つき合わせて喋れるのってね。嬉しいです。じゃあ引き続き、曲やっていくので、このあとも楽しんでいってください。

会場:大歓声

 

6. コスモスパイス

イントロが始まった瞬間の歓声はきょういちばんで、筆者は正直この曲をあまり完成度が高いと思っていないので驚いた。しかし、ピノキオピーがチューニングした鏡音リン・レンの歌声を生で聴く経験が非常に貴重なのは事実であり、その観点からは楽しめた。

はじめ、VJと音がややズレたが、Bメロ中盤までには完璧なシンクロに戻っていた。

Bメロ「Pa Pa Pala Pa Pala」でピノキオピーが客席に投げると、完璧なレスポンスが返され、浸透度の高さを感じた。

照明・客席はもちろん黄一色。

 

7. エゴイスト

VJは基本MVを流すが、この曲はMVがないため、Yuma Saitoお得意のポリゴン感を押し出した3DCGムービーが流れる。

最初のチルタイム。音源が動画共有サイト上に発表されていないため客席は地蔵かと懸念されたが、意外にも多くの観客が快さげに体やペンライト、ぬいぐるみを揺らしている。

明るめで多幸感あふれる照明。

 

8. 甘噛みでおねがい

ピノキオピーが歌いながら普通に噛むんじゃないかと一部で予想されていたが、全く噛まなかった。しかし、ゆっくりが早口言葉を連呼する間奏をピノキオピーひとりで再現し始めたときはハラハラしたし、じっさいちょっと怪しかった。暗唱を終えたピノキオピーをねぎらうような客席の歓声。

照明はMVに合わせてビビッドでおいしそうな赤と青。

 

9. デラシネ

イントロで古参ファン騒然。

グッと暗めに抑えられた照明。

最近のファンがついてくるのは難しいかと思ったが、さすがにコール&レスポンスへの参加は少ないものの、サビで垂直に跳ぶ人は驚くほど多かった。

「だって君は親に優しい だって君は仕事も順調」を「だって君は(もごもご)も順調 だって君は仕事も順調」と間違えるピノキオピー。今までは歌詞間違いなんてなかったのにと軽い衝撃。

ドロップで銅鑼を何発も鳴らすピノキオピー。

 

10. ニナ

「Jumping remix」として『PINOCCHIOP BEST ALBUM 2009-2020寿』(2021年3月3日発売)に収録されているものの、『寿』以前よりライブでは定番だったバージョン。オリジナルよりアップテンポで軽快さが強調され、情感が抑えられている。

個人的にはここもチルタイムだと思っている。

 

11. ラヴィット

くぐもったベースのロングトーンからスタート。

Bメロ「大好き」の観客のレスポンスは完璧。圧倒的な人気を感じさせる。

Cメロ、ピノキオピーが前後にゆったりと腕を振る動きをみせると、速やかにペンライトたちがそれに倣う。

全体的に暗めの照明。客席はオレンジ。

 

12. 魔法少女とチョコレゐト

すこし照明の点滅が激しく感じられる場面が気になった。

 

13. 胸いっぱいのダメを

聴き慣れないシンセのフレーズから始まり、困惑するファンたち。

しかし、ピノキオピーがミクとユニゾンで、「胸いっぱいのダメを」と懐かしいラインを歌い、「セイ」と観客にレスポンスさせるうちに、会場は驚愕と興奮に包まれた。コール&レスポンスが8回繰り返されたのち本編へ。

初披露のリミックス。オリジナルではギターのものだったフレーズがすべてシンセに置き換わっている。裏拍で鳴るディジタルなキック、サガットが16ビートで打つハイハットがポップでとっつきやすい。全体の印象は優美ながら、シンセの音選びには原曲の硬質さが継承されている。また、キーが+3されている

新しいファンの少なくない割合がこの曲を知らなかっただろうし、初めて耳にするビートであることもあいまってか、客席のノリはいまいち。

 

MC

一瞬だけ暗転してすぐ明転。

ピノキオピー:いやあ……。皆さん盛り上がってますねえ!

会場:大歓声

ピノキオピー:めっちゃ気持ちいいです。皆さん、[聴き取れず]しないで……(地面を両手の人差し指で指す)。

会場:(次々に着席)

ピノキオピー:いいですね、2階席も最高(2階席を指差す)……。

2階席:大歓声

ピノキオピー:すげえ、2階席がある(笑)。

観客A(2階席):高いよー。

ピノキオピー:「高いよー」(笑)。……1階の人たちも最高(1階席を指差す)。

1階席:大歓声

ピノキオピー:みんな最高!

会場全体:大歓声

ピノキオピー:ちょっとメンバー紹介させていただきます。青髪の、スクラッチ&サンプラーをやってくれてる、RKくんです。

RK:RKと申しまーす! ……めっちゃ暑くて、さっき[ピノキオピーが]見てくれてたと思うんですけど、イヤモニとれてたじゃないですか(右耳を指差す)。汗が耳に入ってきて、「ツルン」と。

ピノキオピー:「ツル~ン」と。耳の中まで汗が入ってきて。

RK:みんなの「大好き」に圧倒されて。

ピノキオピー:リハでも汗かいてたね。

RK:そうですね(苦笑)。

ピノキオピー:控室にシャワーがついてて、RKくんがシャワー浴びたときに、水圧が「痛すぎてびっくりした」って[RKがピノキオピーに話した](笑)。「ビームみたいな水圧が来て、気持ちよかった」んだよね。

RK:そうですね。2センチくらいしか浴びてないんですけど。ちゃんとシャワー浴びました。

ピノキオピー:リフレッシュ。

RK:(一礼して一歩下がる)

ピノキオピー:そして、ドラム、サガットさんです。

サガット:はい、サガットです。よろしくお願いしまーす(会場全体に手を振る)。

ピノキオピー:サガット先輩。

サガット:(笑)初めて言われた、「先輩」。

ピノキオピー:やあ、いいっすね、きょうもキレがあって。

サガット:ありがとうございます(右腕ガッツポーズ、力こぶを見せる)。

ピノキオピー:「閻魔さまのいうとおり」むかしからドラム、やってるんですけど……回を重ねるごとに、手数がどんどん増えていって。きょうは2倍くらい量があった(笑)。

サガット:きのうよりもやっぱ、きょうの自分を超えていきたい。筋トレで、「きのう10回やったら、きょう11回やろう、つぎ12回やろう」。どんどん回数を重ねていって負荷も強くする。身体がどんどんそれで成長するっていう。

ピノキオピー:『HUNTER×HUNTER』のネテロ会長みたい(正拳突きのモーションをする)。

会場:(笑)

ピノキオピー:だんだん、音を置き去りに*3……。そういう積み重ねって大事ですからね。

サガット:そうそう。

ピノキオピー:そして、VJやってくれてます、サイトウユウマさんです。

会場:(拍手)

ピノキオピー:来て……いただいてますよ。ありがとね。そして、この(ステージ全体をなでるように腕を動かす)ステージスタッフの皆さん。

会場:(拍手)

ピノキオピー:たくさんいます。ほんとうにありがとうございます。そして主催の[株式会社]HIKEさん。

会場:(拍手)

ピノキオピー:HIKEさんがいなかったらライブできてないです。……いろんなことに感謝していきます、ここ、KT Zepp Yokohamaでございます。

会場:(拍手)

ピノキオピー:Zeppです! ありがとうございます、こんな……。そして、ご覧いただいてる皆さん! ありがとうございます。

会場:(拍手)

ピノキオピー:ほんとね、ありがたいっすよ。この会場だけじゃなくて、いま配信をやってて。配信の向こうにいる――パソコンの前だか、プロジェクターの前だか、いろんなところにいると思うんですけど――皆さま、ありがとうございます。

会場:(拍手)

ピノキオピー:楽しんでくれてますか。ありがとうございます。……いやあ、嬉しいですね。こんな会場になると僕思ってなかったんですよ。規模が……ちょっと……すごすぎて、「本当か!?」ってなってます。

サガット:みんなほんとそう[思っている]よ。

ピノキオピー:[会場の]皆さんも思ってる? ……「ちょっと思ってる」? そう。……今回「初めて来た」って方います?(挙手を促す)

会場:(4~5割くらい挙手)

ピノキオピー:あっ、けっこういらっしゃいますねえ! すげえー。ありがとうございます。……全国各地から来てらっしゃるみたいで。今回「遠くから来たぞ」って方います? ……あ、じゃあ、そこの。どこから来ました?

観客B:佐賀です!

ピノキオピー:佐賀から!(サガットのほうを向く)

サガット佐賀県出身です! 唐津市だよ!

ピノキオピー:(サガットのほうを向いて)佐賀県出身だから「サガット」って言うんですよ。ね、覚えた? 佐賀県の人。衣装もふだんから[サガットが]柄シャツ着てるから、近いものを感じる。いますか、他にも? ……じゃあ、そちらの。

観客C:[聴き取れず]

C周辺の観客:(騒然)

ピノキオピー:え、どこどこ?

観客C:スイスです。

ピノキオピー:(驚愕の表情)スイス!? そりゃ遠いわ!

RK:グローバル!

ピノキオピー:すげえ! スイスから! ……いやあ、これは「めちゃ遠(とお)」じゃないですか? ……あ、そちらの方。

観客D:フランスです。

ピノキオピー:フランスから! すげえ、ほんとに!? すごいねえ!

サガット:グローバルすぎる!

ピノキオピー:じゃあもう、飛行機に乗って……飛行機以外に何があるんだって感じですけど(笑)。

会場:(笑)

ピノキオピー:泳いできたのかって話ですけど。……すげえ。ほんと、ありがとうございます! 嬉しい。

会場:(拍手)

ピノキオピー:こんな規模になったし、そんな遠くからも来てるし……。じゃあ、そうですね、いま熱が高まったので――「遠っ!」っていう熱に、遠さで熱が高まるっていう。あと、皆さんの熱気もいただいて、めっちゃいま元気で来てるので――すごい、こう、なんだろ……いいライブにしていきたいと思います!

ゆっくり:オウイェ

会場:歓声

ゆっくり:プチャヘンザ

ピノキオピー:じゃあ、次の曲はちょっと「インタビュー」を、させていただきたいなと。

会場:悲鳴

 

14. 匿名M

「超ボカニコ2023」で披露された際は、ピノキオピーが全編「インタビュアー」役を務めた。今回、冒頭「えー、本日はインタビューよろしくお願いいたします」が原曲通りのARuFaの声だったため、「ああ、きょうはインタビュアー役は音源使用で通すのかな」と思った。が……。

「M」が「軽く自己紹介」する最中、黒い板で目隠しをした、スーツ姿の小柄な男が下手から登場。ステージ中央に立ち、右手のマイクを口に寄せて発した声は、音源と寸分たがわず同じであった。

会場は悲鳴に包まれ、ここぞとばかりに多くの人々がスマートフォンのカメラを起動させた。

筆者は「これはバズるだろうな」と頭のどこかで冷静に考えつつも、悲鳴が止まらなかった。

ピノキオピーは一切歌わず、裏方に徹している。

Bメロ、冷静に「インタビュー」を続けるARuFaの後ろでピノキオピーが手拍子を促す。

1番サビ入り、ピノキオピーが腕を客席に向かって振りながら「セイ!」と叫ぶと、この日いちばんのシンガロングが始まった。ミクにしか歌えない、歌ってはならない歌を1200人の人間たちが大合唱している。批評性が高すぎた。

サビの間、ARuFaは足を肩幅に開き、左腕を垂らし、マイクを持った右の上腕を横に水平に伸ばして無表情で静止している。まばたきの様子が目隠しでわからないためまるで写真のようで、ロボットパントマイムを連想させる職人技だった。

2番サビ入り、「ワン・ツー・スリー!」と叫ぶピノキオピー。

サビを1度回し終わり、ARuFaは右上腕を同じ高さに保ちながらゆっくりと回して顔の真下へとマイクを持ってくる。2回目の回しが始まった途端、すばやく上腕を逆回転させて元の位置へ戻す。

照明、客席ともに青白く染まる。

 

MC

暗転後ただちに明転。

会場:悲鳴

会場:ARuFaさーん!

ピノキオピー:はい、どうもです! スペシャルゲスト、ARuFaさんです!

ゆっくり:オウイェ

ピノキオピー:ARuFaさん、ARuFaさん。

その呼びかけに応じ、ここまでずっと静止していたARuFaが動き出す。

ARuFa:あ、あ、ごめんなさい。(客席に向かって)インターネットから来ました、ARuFaでーす!

会場:悲鳴

ピノキオピー:いやほんと、[ARuFaの衣装が、「匿名M」MVの]完全再現で……。

ARuFa:ネクタイの柄も一緒でーす(ネクタイを指差す)。よろしくお願いしまーす。

ピノキオピー:ありがてえ……ありがてえ……。……めちゃめちゃ[客席が]人・人・人で。

ARuFa:すごいっすねえ。最高ですね。「最高最高最高最高*4ですね。

会場:悲鳴

ピノキオピー:ほんと、「最高最高最高最高」で。

会場:ARuFaさーん!

ARuFa:ありがとうございます。

ピノキオピー:いやあ、すごいね。言ってないのにスーツ着て来てくれたからね(笑)。

ARuFa:(笑)マナーですから(左手を胸に当てる)。

ピノキオピー:めちゃくちゃありがたい。大変でしょ、こんな……(笑)。

ARuFa:めちゃくちゃ暑いですけどね。ちょうどいいです、はい。

ピノキオピー:今回、ARuFaさん「匿名M」っていう曲でね、「インタビュアー」役でやってもらったんですけど。作るときに、「匿名」の曲を作ろうかなってまず思って。「ちょうど身近に、こういう(ARuFaを指差す)匿名の奴がいたな」(笑)って。

会場:(笑)

ARuFa:匿名なら任せてください。

ピノキオピー:そうそう(笑)。「匿名だな~」って思って。

ARuFa:はい、ありがとうございます。

会場:(拍手)

ARuFa:匿名の奴がこんな拍手もらうことないですからね。ありがとうございます。

ピノキオピー:匿名史上いちばん[拍手を]もらってんじゃないですか。

ARuFa:ありがとうございます。

ピノキオピー:ほんと、感慨深いっすよね。[ピノキオピーとARuFaは]昔から付き合いがあって。

ARuFa:たしかに10年以上前から交流ありますからね、僕ら。

ピノキオピー:ステージでこういうふうになるとは、思ってなかったです。

ARuFa:(客席に向かって)いや、これ、めちゃめちゃアツいですよ。

ピノキオピー:あんま[観客は]ピンと来てないかもしんないけど……(笑)。

会場:大歓声

ARuFa:ありがとうございます。

ピノキオピー:あんま自分で言うことじゃないですけど(笑)。

ARuFa:ああたしかに。すみません。

ピノキオピー:それでですね。今回「匿名M」の「インタビュー」やってもらったんすけど……この曲、めちゃくちゃ短すぎるので、このまま帰ってもらうのもちょっと……(苦笑)さみしいじゃないですか。

会場:大歓声

ピノキオピー:なのでね、ARuFaさんには、僕の曲で「アップルドットコム」って曲があるんですけど……。

会場:おおお!!

ピノキオピー:それのリミックスをしていただいてて。

ARuFa:そう。実は僕、曲も作ってるんで。

ピノキオピー:もともと[ARuFaは]ボカロPなんですけど。

ARuFa:そうなんですよ、実は。

ピノキオピー:その曲を、今回2人で歌おうかなと。

ARuFa:2人で歌わせていただきます。よろしくお願いします。

会場:大歓声

ピノキオピー:よろしくお願いいたします。じゃあじゃあ、いきますかね。

ARuFa:いけます。

ピノキオピー:いけますか。よし!

 

15. アップルドットコム

『寿』のためにARuFaが製作した「Sickness remix」。苦しそうな吐息の連続から始まり、原曲の音の奇想天外さはさらに拡大され、リズムが攪乱されて安定が崩れる。ARuFaの編曲家としての才能が引き出された名リミックス。

照明は赤。

ピノキオピーとARuFaはAメロとサビでは同じパートをユニゾン、Bメロでは代わる代わる歌う。ピノキオピーのパートに、ARuFaが「アオッ!」と高い声で合いの手を入れるシーンも。

ピノキオピーの身体はビートに合わせて自然にゆらゆらと揺れるが、ARuFaの身体はあまりにもキレが良く、ハイファッション雑誌の撮影でワンショットごとにポーズを変えるモデルのごとし。

間奏、ピノキオピーが脈絡なく「アルティメットダンス」を始めるところからもピノキオピーの浮かれぶりが伝わってくる。

落ちサビ、ピノキオピーが腕を高く掲げてから落とす動きで客席を煽るが、ARuFaが逆に下から上へと持ち上げるような動きを始めると、ピノキオピーもそれに倣う。

ラスサビ、ピノキオピーがARuFaの背後に回り、つぎにARuFaがピノキオピーの背後に回り、そして肩を組んで歌い出した。

2人とも戦慄するほど笑顔で、特にピノキオピーはきょういちばんどころか、いままでのライブでいちばんの満面の笑みを見せた。

 

ピノキオピー:ありがとうございました、ARuFaさんでしたあ!

会場の大歓声と悲鳴に包まれ、ARuFa退場。

スクリーンで「02:48」「02:47」とカウントダウンが始まり、それに合わせ振り子時計の「チクタク」音が流れると、会場から「おお」と歓声が上がる。

 

16. 余命2:30

カウントダウンが2:30になった瞬間、曲とMVが同時スタート。VJとの連携が冴えわたる。

照明は清楚な白。

1番はミクがソロで歌い上げ、2番以降はピノキオピーも入る。

ARuFaに熱狂した観客たちはここでクールダウンし、ふたたびピノキオピーの世界に没入する。

 

17. ノンブレス・オブリージュ

1番は前曲の余韻と自然に連続するスローテンポ。「さんはい」まではミクのソロ。2番から本格的にドラムとサンプラーピノキオピーの歌唱が入り、フロアに熱が再び籠もる。

ラスサビ「息が詰まる」「息を止める」の「息継ぎのない」連続を歌い上げ、客席から喝采を受けるピノキオピー。

 

18. 内臓ありますか

ピノキオピー:みなさん、内臓ありますか。

会場:大歓声

ピノキオピー:内臓あるって人は、「はい」って言ってください。

会場:はい!!

ピノキオピー:いいね、「内臓ありますか」?

ピノキオピー楽曲のなかでも最高レベルのコール&レスポンス「今日も皆さん やりたくないことばかりやってますか」「はい」、「みんな 内臓ありますか」「はい」を楽しめる、ライブ映えする楽曲。コロナ禍も明け、声出し解禁で本領を発揮。

ピノキオピー:「関係ないけど 大きな声で叫んでくれますか」、「MIMIC」!?

会場:大歓声

ピノキオピー:いくぜ!

ラスサビ最後、

ピノキオピー:最後に訊きます、皆さん、内臓ありますか!?

会場・ミク:「はい はい」

 

19. Mei Mei

『寿』リリース以降2年以上ライブで演奏されていなかった曲であり、イントロから会場騒然。

イントロ、ミクのロングトーンのパートが終わりカットアップに入るとき、銅鑼を打つピノキオピー。

客席のノリは、ピノキオピーが現在の人気を獲得する以前の楽曲であることを考慮すればかなり健闘している。

 

20. ちきゅう大爆発

P丸様。に提供した楽曲のセルフカバーとして『META』に収録された「META ver」。初披露だが、会場のコール&レスポンス「言わない」「uh ah」、「君の心は小学生 身長何センチ?」「わーい」は完璧。

「死ぬと思った?」と不敵な笑みで客席をランダムに指差すピノキオピー。

 

21. アンテナ

キーが原曲から-2されている。

ミクの声はBメロでは原曲と比較して、主旋律の音量が落とされハモりが大きくなっている。

サビではユニゾン。「ボカロと人間が肩組んで歌う」理想の体現。

ピノキオピー:ここ「MIMIC」にみんな集まったことを、数年後に思い出して。

会場:大歓声

ゆっくり:オウイェ

Cメロ終わりで、RKが自分の立ち位置を離れ、カメラのあるほうへ何かを押し出すようなジェスチャーをしながらピノキオピーの卓へ。ピノキオピーの機材を少し弄ってから、落ちサビで自分の卓へ。トラブルだろうか。ラスサビでは何もなかったかのように飛び跳ねていた。

アウトロ「la la la」でのワイパー、会場の動きが完全に揃っていた。

 

22. 祭りだヘイカモン

ピノキオピー:皆さん、祭りの季節ですねえ。

会場:大歓声

ゆっくり:オウイェ プチャヘンザ

ピノキオピー:祭囃子の音が……聴こえてきましたよ!!

ドラムパターンがシャッフルになり、一気に民謡ムードが高まる会場。「祭りだ 祭りだ」のコール&レスポンスを6回繰り返し、満を持して冒頭サビへ。

Bメロでミクはハモり強め主旋律弱め。

「その神輿はニセモノだ」のパートで沈黙するピノキオピー、まさかと思いきや、

ピノキオピー:今年はクワガタだ!!!(RKを指差す)

「超ボカニコ」で「祭りだヘイカモン」が演奏されるとき必ず登場することでおなじみの、(祭りの屋台で売ってそうな)巨大なクワガタを象ったビニール風船がRKの背後から取り出される。

Cメロでクワガタをぶん回すRK。

Cメロから落ちサビまでの間奏で銅鑼を2発鳴らしたあと、RKが恭しく差し出したクワガタを受け取るピノキオピー。

落ちサビで「鳴り響いている」と絶叫しながら客席にクワガタを放り投げるピノキオピー。

サビでかなり照明の点滅が激しかった。今回は点滅によって人が倒れるリスクはそれほど大きくないとチームが判断したのか。

ラスサビのルバート、

ピノキオピー:いやあ、いいね。めちゃめちゃ熱量が……籠もってますよ……。そんな皆さまの、幸せを願って……! 「ハーッ……ハーッ!」

客席の盛り上がりは最高潮に。「えらいこっちゃ えらいこっちゃ よいよいよいよい」のコール&レスポンスを5回繰り返して終了。

 

23. すろぉもぉしょん

ピノキオピー:皆さま早いもので、最後の曲です! 早すぎ!

1番Bメロ「10代」「20代」「30代」で1本、2本、3本と指を立てていくコール&レスポンスは健在。

ミクの声はハモリと主旋律を交互になぞる。ボカロと人間がユニゾンになる箇所とハーモニーを奏でる箇所の按配が考え尽くされている。

最後のラインを歌い上げ、

ピノキオピー:皆さま、はじめましての人ははじめまして、ピノキオピー、ピノキオピー、ピノキオピーと申します! ありがとうございました!

客席:大歓声

RK、客席に手を振りながら、サガット、客席に軽く会釈して、ピノキオピー、深く頭を下げたあと右腕を高く掲げて、下手側よりそれぞれ退場。

 

会場:(手拍子)アンコール! アンコール!

ピノキオピーが再び登壇するまで、2分間ほど手拍子は鳴り止まなかった。

ステージが明転するや否や大歓声と拍手が沸き起こる。

 

MC

ピノキオピー:アンコールありがとうございます!(頭上高くで拍手)……いやあ、みんないい顔してます。ほんとに。僕も元気出ます、ありがとうございます。

会場:歓声

ピノキオピー:……盛り上がってくれて、ほんとに嬉しいです。

会場:ピノさーん!

ピノキオピー:今回「MIMIC」ってライブをやるにあたって、皆さんも、これとか(自分の着ている「MIMICホログラムTシャツ」を摘まんでパタパタと動かす)、着てる方もいますけど、今回、けっこう可愛くない?

サガット、RK登壇。

ピノキオピー:……あ、(サガットとRKを指差して)[2人とも「MIMICホログラムTシャツ」を]着てきましたね。

会場:(口々に)可愛い!

観客E:サガットさん可愛い!

ピノキオピー:今回、あとライトバングル[グッズ「MIMICライトバングル」]作ったんですよ、初めて。あ、(客席を指差す)[ライトバングルを]つけてらっしゃる人も……。

観客F(筆者の右隣の席にいた巨漢):サガットさん可愛いよー!!

サガット:(両手をサムズアップし、両頬を親指で指すポーズをしながら小首を傾げて微笑む)

ピノキオピー:(笑いながら、サガットの方を向き、観客へ向き直る)「サガットさん可愛い」。ハハハハ。……どうですか、ライトバングル。

会場:大歓声

会場:(口々に)最高!

ピノキオピー:あ、(客席全体を円を描くように指差す)きれい。めっちゃきれいですよね、ここから見て。やあ、いい感じっすね。……今回、(卓上の「MIMICトートバッグ」から、折りたたまれた「MIMC大判タオル」を取り出す)タオルと……これかあ。カラフルタオル。今まででいちばんデカいですよね、いままでのライブで[グッズとして作った中で]。(タオルを胸の前に広げる)デカッ(笑)。

会場:(口々に)可愛い!

ピノキオピー:ねえ。これ、いいですよね。今回もね、デザイナーの[Yusuke]Krutchさんって方にね――『META』のジャケットとかもやってもらってたんですけど――めっちゃかわいい[ものを作ってもらった]。このホログラム[自分が着ている「MIMICホログラムTシャツ」のホログラム部分をつまむ]も、Krutchさんのアイディアで。めっちゃグッジョブというか、すげえいい感じ。ありがとうございます。

会場:拍手

RK:(サーキットレースのスタート音)

ピノキオピー:あと、トートバッグね(「MIMICトートバッグ」をかかげる)。この、シンプルな……(「MIMICトートバッグ」の中央付近を指差す)偽バーコードついてます。読み取ってもなんにもなんないです。

会場:(笑)

ピノキオピー:でも、かわいいっすね、このバーコードの感じとか、すごく。この[聴き取れず]とか[聴き取れず]ないなって感じです。……(「MIMICトートバッグ」から「MIMIC缶バッジ(匿名M)」を取り出す)この缶バッジとかもね、[自分がいま持っているのは]「匿名M」のやつですけど、これとか……あ、(「MIMICトートバッグ」から「MIMICラバーバンド(ピンク)」を取り出す)ラバーバンド。皆さんありがとうございます。……で、(「パラレルエッグTシャツ(ブラック)」を取り出す)「パラレルエッグ」のやつとか、あるんで……。

会場:(苦笑)

ピノキオピー:ぜひ皆さん、よかったらって感じで。(グッズをすべて仕舞う)……いろんな人に支えられて、ここにいま立ってるなって感じなんですけど。思えば……いま2023年ですよ。で、ライブ演り始めてから8年経つんですけど。

会場:(拍手)

ピノキオピー:2015年くらいから、初めてライブを演って。で、そんとき「ライブってどうやるんだろう」って思いながら、見様見真似でというか。わかんない状態でやってたわけですよ。今回「MIMIC」ってタイトルですけど……「ライブの真似事」みたいなところから最初始まったんですけど、そこから8年経って、なんか……「真似事」って規模じゃなくなってきて。いま、すごく感慨深い気持ちになってます。これ[きょうの公演]は、「真似事」じゃないですよ、皆さん(笑)。

会場:大歓声

ピノキオピー:最近、スピッツの本[『スピッツ2』2023年5月10日ロッキング・オンより刊行]を読んで。スピッツの自伝のやつで。その本の中で草野マサムネさんが言ってたことが、すごい「いいな」と思ったのがね――草野さんはロックのことで言ってたんですけど――「自分はロックを、ずっと『ごっこ』でやってる」って言ってて。「ごっこ』でやってるからこそ、『醒めない』でずっとやり続けていられる*5って話をしてて。たぶん、「『ごっこ』で自分がずっとやってる」って意識で、もっともっと……いいふうになっていけたらいいなっていう、気持ちがあるからなっていくんだろうなって。僕もその気持ち、畏れ多いながら、ちょっとあるんですよ。で、今回、「MIMIC」もあるいは「ごっこ」というか。何かを真似たり、模倣したりっていう気持ちを抱えたまま、きょうになっていて。これからも、なんというか……アマチュアリズム、じゃないですけど……自分の中で、「楽しい」と思うことが「ごっこ」だと思うんすよね。で、そういうことをやり続けていけたらなと、思ってます。で、それを皆さんで共有できたら、いいなあって……ずっと思って、やってます。これからもよろしくお願いいたします!

会場:(拍手)

ゆっくり:オウイェ

ピノキオピー:毎回、ライブだけじゃなくて新曲を作るたびに、「曲どうやって作ってたっけ」って思うくらい(笑)、毎回見様見真似でやってるわけなんですけれども。なんか、気づいたら、活動自体も……(サガットとRKへ問いかける)来年で15[周年]とか? なってて。そんな感じになっています、はい。

会場:(拍手)

ピノキオピー:皆さん、今後とも……このあとも、アンコールやりますんで。

会場:大歓声

ピノキオピー:最後までずっと全力で、楽しんでいってください。……よろしくお願いします!

ゆっくり:オウイェ

ピノキオピー:じゃ、いきます。

会場:大歓声

 

Enc. 1. LOVE

夢のように美しい楽曲の登場に息を呑む観客。

Aメロ・Bメロは真剣な表情でしっとりと、サビはエネルギッシュに歌い上げるピノキオピー。

スクリーンには大量のハートマークが舞う。

「ラヴを ラヴを」は会場だけでなく、ハンドマイクのRK、ドラムセットに取り付けられたコーラス用マイクのサガットも加わって大合唱。

 

Enc. 2. すきなことだけでいいです

「ワン・ツー・スリー・フォー・ワン・ツー・サン・シー・ファイブ」のコールに合わせて指を1本、2本、3本、…と立てている観客はさすがに少なかった。

2番終わり間奏、ピノキオピーが何度も「ドーン!」と喪黒福造よろしく客席に人差し指を突きつけるのは、この曲がライブで演奏されるときの定番だが、今回、それは最初の1回だけに留められ、あとは「ドーン!」と叫ぶたびに銅鑼を打ち鳴らしていた。

落ちサビ「すきなことだけでいいです」のコール&レスポンスは会場全員が参加。

 

Enc. 3. META

冒頭サビが終わりイントロに入ったとき、

ピノキオピー:皆さん、ほんとにほんとに最後の曲です! ありがとうございました、ピノキオピーでした。

そう言いながら立ち位置を抜け、ステージ中央へ躍り出るピノキオピー。

どこからともなく手拍子が始まる。

照明は無難な白色で、ペンライトやバングルは白基調ながらみんな思い思いの色にしている。楽曲のすばらしさの前ではもはや色など些細な問題に過ぎない。観客ひとりひとりの心の中に、各々の正解の色がある。

ラスサビからアウトロへ向かい、鎮静するシーンで、

ピノキオピー:皆さんありがとう。

そう早口で笑って、最後のラインを歌い上げた。原曲ではこのあとこのまま演奏終了するが、今回は終わりかけたところにドラムがカットインし、永久に続く天国が目の前に広がるかのようにシンセのフレーズが再び鳴り出すライブアレンジとなっていた。

ピノキオピー:皆さまありがとうございました! ピノキオピーでした!

垂直に飛び跳ねながら、「メタを超えて」を12回重ねたピノキオピーとミク。

ふたたび音が鎮静すると、ピノキオピーは立ち位置に戻る。

ステージがじわじわと暗転する中、シンセのフレーズが止む。

ピノキオピー:ありがとうございました、ピノキオピーでした。

暗闇の中を下手側へはけていく3人。

観客が最後の大歓声を上げると、ただちに客電がつく。

夢のような2時間だった。

*1:https://twitter.com/pinocchiop/status/1684851190788403201より引用。

*2:その後救急隊がフロアに入る騒動になり、そのまま公演は中止された。

*3:HUNTER×HUNTER』263話、ネテロが「一日一万回 感謝の正拳突き」の修業をした結果「ネテロの拳は 音を置き去りにした」というエピソードからの引用。

*4:ピノキオピーがARuFaに提供した楽曲「こんにちは、ARuFaです。」の一節。

*5:『醒めない』は、2016年7月27日にスピッツが発売したアルバム、およびそのリーディングトラックのタイトル。草野の発言の原文は以下の通り「これは、俺の考え方だけど、ロックミュージックって自己流でやるからいいと思うんです。自己流でやるから醒めないでいられるのかなっていう。ごっこのままっていうか。だから醒めないまんまでいられるし。聴く人も、それによって、夢から醒めずにいられるというか。そういう部分はあると思うので」(前掲書p. 374)。